【コラム】世界規模の「SDGs」、身近な「SDGs」

 「SDGs」と聞くと、「世界中の為」、「地球の未来の為」と、とてつもなく大きなことのように捉えてしまうかもしれない。地球の未来を考えた、地球の持続可能な開発目標として掲げられているのがSDGsであり、たしかに言葉やそれぞれの目標だけを聞くと、どう行動に落とし込んでいけば良いか分からない人も多いだろう。

 また、日本国内の認知度で言っても、世界各国に比べて低い。WORLD ECONOMIC FORUMでの調査(2019年※1)によると、SDGsの意味を理解しているのは調査対象28か国中最下位の34%(「とてもよく知っている」1%、「よく知っている」7%、「知っている」26%)であった(※図1)。

※図1 WORLD ECONOMIC FORUMより引用
https://www.weforum.org/press/2019/09/global-survey-shows-74-are-aware-of-the-sustainable-development-goals/

 濃いグレーで表されている「まったく知らない」は51%で、半数が聞いたこともないという。TVCMや新聞・雑誌等、様々なメディアで目にする機会も増えたように思うが、まだまだ日本国内での認知度は世界的に見ると低いのである。とは言え、私たちの住む地球の未来を考えた活動、世界的に同じ目標に向かっていこうとしている今、「まったく知らない」で済ませられないのではないように思う。

 このようにまだあまり親しみの無いように思えるSDGsだが、取り組みは身近なところから始められるものも多い。例えば、「13.気候変動に具体的な対策を」に関わる取り組みとして、前回コラムでも触れた通りだが、買い物にはプラスチック製のビニールを貰わずエコバッグを使用することは、最も身近な取り組みと言えるだろう。それが例えSDGsへの取り組みだと認知していなかったとしても、自然と身の回りで始まっていて、それを自分も当事者として経験し始めているのである。

※図2 国際連合広報センター より引用
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/

 

■企業として期待されるSDGs活動

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 ダイヤモンドオンラインによると、2020年SDGsへの取り組みの評価が高い企業ランキングで1位は「トヨタ自動車株式会社」と伝えている(※2)。

トヨタ自動車では、2050年のクルマ環境負荷ゼロを目指す「トヨタ環境チャレンジ2050」を公表して様々な活動を行っている(※3)。その活動によって貢献できるSDGs目標の番号も具体的に掲げ、HP上でも報告を行っている。例をあげると、「人と自然が共存できる未来づくりへのチャレンジ」の一つとして、自社工場の敷地内にビオトープと呼ばれる生物の生存空間を作り、地域の学校や研究所と連携して生物多様性の保全活動を行っている。このチャレンジを通じて「12.つくる責任、つかう責任」、「15.陸の豊かさも守ろう」に貢献しているのだ。企業として、自動車という製品を越えて、地域や社会と連携しながら地球の未来を考え活動していることがわかる。

 企業におけるSDGs活動については、まだ漠然としていてなかなか前に進めない企業や自社ビジネスと繋ぎ合わせることが難しく感じている企業も多くあると思うが、今後企業としては、SDGs活動を自社に落とし込み具体化していく方法を模索していかなくてはならないだろう。自社ビジネスの枠を越え、様々なステークホルダーとの繋がりを持ちながら、地球の未来へ貢献することが期待されてくるのではないだろうか。

■コロナを踏まえた日本のSDGsへの考え

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 2019年9月に行われた国連SDGサミットでは、2030年までをSDGs達成に向けた取組を拡大・加速するための「行動 の10年」と定められたが、その後発生した新型コロナウイルス感染症の拡大は人間の安全保障に対する脅威となってしまい、SDGs達成に向けた取組の遅れが深刻に懸念されている。

日本では、内閣府が設置した「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」において、2018年から、取り組みへの指針や優先課題の提示等を行う「SDGsアクションプラン」が毎年発信されている。2020年12月に行われた会合では、「コロナ禍からの『よりよい復興』と新たな時代への社会変革」としてのSDGsアクションプラン2021が発信された(※4)。今後のSDGs活動においては、コロナからの復興を念頭に置く必要があるのである。SDGsアクションプラン2021の中で日本での今後のSDGsへの取り組みにおける重要事項を、下記4点としている(図3)。

  • 感染症対策と次なる危機への備え
  • よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略
  • SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出
  • 一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速

※図3 持続可能な開発目標(SDGs)推進本部 発行「SDGsアクションプラン2021」P3 より引用
actionplan2021.pdf (kantei.go.jp)

 2020年はコロナに悩まされた一年であり、現在もそれが続いている。しかし未来に向かう為には、対策や危機への備えを行い、前を向き「よりよい復興」に向かって進んでいくことが重要であると記されている。コロナ禍で苦しい状況の中でも未来に向かっていく思いを大切にし、SDGsへの取り組みを進めていけるよう、一人ひとりの意識、行動、発信の必要性をさらに感じる。また企業においては、自社の理念や指針を大切にしながら、未来に向き合い取り組んでいくことが、持続可能な社会、そして企業の発展に繋がっていくであろう。

担当:原

※1  WORLD ECONOMIC FORUM
https://www.weforum.org/press/2019/09/global-survey-shows-74-are-aware-of-the-sustainable-development-goals/

※2 ダイヤモンドオンライン「SDGsへの取り組みの評価が高い企業ランキング2020」
https://diamond.jp/articles/-/232687

※3 トヨタ自動車 「トヨタ環境チャレンジ2050」
https://global.toyota/jp/sustainability/esg/challenge2050/#nature

※4 持続可能な開発目標(SDGs)推進本部 発行 「SDGsアクションプラン2021」
actionplan2021.pdf (kantei.go.jp)

※図1 WORLD ECONOMIC FORUMより引用
https://www.weforum.org/press/2019/09/global-survey-shows-74-are-aware-of-the-sustainable-development-goals/

※図2 国際連合広報センター より引用
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/

※図3 持続可能な開発目標(SDGs)推進本部 発行「SDGsアクションプラン2021」P3 より引用
actionplan2021.pdf (kantei.go.jp)