2018年 年頭にあたり
日本は2008年をピークに人口減少に転じました。このままではわずか100年足らずで、現在の約40%、明治時代の水準まで急減すると予測されています。「子どもを持ちたい」と願う人は決して少なくありませんが、子育て環境の変化や晩婚化、若年層の所得の伸び悩み等問題は複雑化し、出生率はなかなか向上しません。並行して、世界でも類を見ない速さで高齢化が進行し、2040年には、総人口に占める高齢者の割合は39.9%となる見通しです。
人口減少および高齢化により、労働力人口の減少、特に若者の不足が顕著になってきたことから、採用市場は完全な売り手市場にシフトしました。優秀な若者はインターンシップ制度などを利用して、「自分の人生で心から成し遂げたいと思える仕事ができる企業かどうか」を賢く見定めたうえで、就職先を選んでいます。行政への提出用にそつなく書かれた就業規則や、教科書を切り貼りしたような人事の仕組みには関心を持たず、社員をメンバーとして迎え入れ、共に将来を見ることができる企業かどうかを重視しています。
これらの現象は地方だけではなく、大都市圏でも進行しています。もはや、出生率のようなシングルイシューや、「今」だけを捉えて問題解決を図ろうとしても、事態は変わりません。名目GDP世界3位の裕福な国・日本ですが、経済格差や教育格差は拡大し、貧困問題は深刻さを増しているなか、今まさに、夢ある社会を次世代に引き継いでいけるかどうかが、私たち大人に問われています。そのためにも、地域住民、地方自治体、民間企業、NPO法人、その他のコミュニティが連携し、地域の将来を描いた活動が必要なのです。
このような認識のもと、私たちは、「しごと」「ひと」「まち」の3つの視点に注力し、サービスを提供しています。
①しごと(地域社会における企業の役割)
【組織開発・人材育成】
企業は地域社会の形成に密接にかかわり、大きな責任を果たしています。企業の活力は社会に不可欠であり、そのエネルギーを支えるのは、従業員が安心して長く働くことができる組織づくりです。そのために私たちは「組織開発・人材育成」を提供しています。
今後、雇用市場は労働力の供給不足により、慢性的な人材不足が続きます。また、「働き方改革」の推進によって、雇用の流動化はさらに進みます。「組織に適した人材じゃなくても仕方ない」と割り切れればいいのですが、そう簡単にはいかず、人材不足の悩みは増すばかりでしょう。
労使の信頼関係の礎は、企業ビジョンに裏づけられた人事戦略を確立し、適切に運用することです。社員一人ひとりの仕事の内容を適切に見定め、成果に対して平等に報いる。そして、それぞれの人材の育成方法を検討し、実行し、組織に伝播させる。これら理論の実践と制度整備をトータルに行います。
ある野菜づくりの名人は、こう言います。「手をかけなくとも、目は細かくかけています。野菜がどのように成長するかを理解したうえで、きめ細かい管理をしているのです」
私たちは、社員が潜在能力を引き出したり、自ら学ぶ力を育てることのできる環境を構築します。それは、社員がさまざまな経験を通して、知識やスキルを獲得する能力を形成する仕組みです。その仕組みを通して生まれたアイデアが、組織全体に縦横に広がり、新しいサイクルを引き起こすことを目指します。
人材の成長を促進して、働く人がイキイキと仕事ができるような職場環境を創り上げます。
②ひと(次世代を担う人材の教育機会を創出)
【体験型企業研修サービス】
これまで日本企業では、長期雇用を前提とした人材育成を行ってきました。その柱となるのはOJTとジョブローテーションですが、雇用の柔軟性が進み、就業モデルが多様になった現在、これまでのような座学でのインプットや、室内での教育施策だけでは不十分になっています。
「体験型企業研修サービス」では、非日常の場での体験型のワークショップによって、「参加者自らが体験したことによる気づき」「体と五感を使っての共通体験」ができる場を創出しています。
研修テーマは
- 「共通体験によるチーム強化」 チームビルディング研修
- 「イマドキ新人を鍛える」 ビジネスマインドセットアップ研修
- 「心と体のリフレッシュ」 社員旅行・メンタルヘルスを兼ねたリフレッシュ
- 「経営理念を再整理、浸透」 経営強化研修
- 「地域の課題を解決する」 問題解決研修
- 「企業の社会的責任の理解」 CSR研修
- 「かわいい新人には旅をさせろ」内定者研修と多岐に渡ります。それぞれの企業の課題別に、最適な体験型企業研修をコーディネートしています。
と多岐に渡ります。それぞれの企業の課題別に、最適な体験型企業研修をコーディネートしています。
本プログラムに参加いただくことによって、社員には未来志向で物事を考え、当事者意識で行動するマインドが醸成されます。自利や部門最適の視点・視座から、全社的な視点でのリーダー人材へ。そして、危機意識ではなく、新しい価値を創造するための人間力を高めます。
③まち(地域特性を活かした経済・文化継承)
【地域活性化サービス】
次世代に、地域の「自然・文化・経済・人」のつながりを残す活動を行っています。
「ここはなんにもないからな~」と、ある地域の人が言います。しかし、他の地域から訪れた人は、「これだけの豊かな自然は本当に素晴らしい」「人のあたたかみが心底感じられる」「こんなに笑顔があふれたことは、しばらくなかった」と口々に言います。地域に住む人は、そこにしかないものを、当然だと思って暮らしているので、よそから来た人に言われないと、独特のすばらしさには気づかないのです。
地域の特異性を見出すには、地域外の人たちと意見を交わすのが非常に有効です。
「地域活性化サービス」の活動では、地域社会の特有の「自然・文化・経済・人」について、私たちが現地を訪れ、実際に活動して知りえた情報を発信していきます。
これからの社会形成で重要な視点は、地域の特徴を活かした発展です。地域づくりにも、一定の経済性は必要ですが、同時に公益性も求められます。収益と公益を同時に達成しようとすると、矛盾が生じることもありますが、適切な判断を行いながら活動していきます。
過大表現することなく、過度な経済成長を目指すのではなく、地域の「自信と誇り」を呼び戻し、過去・現在・未来が「つながる」ことで、安心して暮らせる社会を創ります。
2018年 年頭にあたり
株式会社ビジネス・サクセスストーリー 代表取締役
川九 健一郎